● 2001年デンマーク・ドイツ福祉視察
高齢者住宅の整備を
 高齢者福祉の先進国であるデンマークを視察したいという思いが今回やっと叶いました。おまけに今回の視察はお仕着せツアーでなく、私たちの希望で視察先を決めると言う手作りツアーでしたので、とても有意義なものとなりました。そしてデンマークの視察に関しては高齢者福祉視察を数多く手がけているデンマーク在住のブンゴード孝子さんにコーディネイトとお願いしたことで、コペンハーゲン近郊のエルシノア市に滞在し、市の高齢者福祉施設をはじめ、児童統合施設、国民学校など幅広い施設を視察するとともに、関係の市議会議員、担当の職員、そして元気に活動している高齢者や高齢者住宅にお住まいの方々などとお会いし、じっくりお話を聞くことができ大きな成果を得ることができました。
 デンマークはご承知のように高負担、高福祉の国ですが、国民から集めた多額の税金を湯水のごとく福祉に投入しているのではありません。ある意味ではとても合理的な考え方をしているということを今回の視察で知りました。それは高齢者の住宅施策です。現在のデンマークの高齢者施策は施設介護から在宅介護へと移行していますが、「在宅」の意味が日本とは非常に異なっていることが分かりました。日本の場合「在宅介護」と言えば、「高齢者が住み慣れた我が家で介護を受ける」と考えますが、デンマークの場合は高齢者の住む場所をその人の介護状態により移していくという考え方を取り入れています。私たちが視察をしたエルシノア市は市内を3つのブロックに分け、各ブロックに高齢者統合センターを設け施設介護、在宅介護に対応しています。介護が必要でなく元気に過ごせるうちは一般の住宅に居住しますが介護が必要になると統合センターに近い高齢者住宅へ移ります。そして常時介護が必要という介護度が高い高齢者は統合センター内にある高齢者住宅に居住することで介護にかかる経費の削減を図っています。どの高齢者住宅に入るのかは判定によるとのことですし、本人が自宅での介護を希望する場合はそれも可能です。
 「在宅」か「特養」かという二つだけの選択ではこれからの少子高齢化には対応できません。格段に土地の値段が高い日本でデンマークのように高齢者住宅を整備することは難しいかもしれません。しかし、高齢者が出来るだけ自立して生活できるようにすることは介護にかかる費用を抑えることにつながるはずです。「在宅」でも「特養」でもない高齢者住宅の整備を日本でもぜひ進める必要があるのではないでしょうか。
 今回の視察では一般の住宅地にある元気な高齢者の住宅、統合センターから歩いて2−3分の住宅、そして統合センター内にある住宅2カ所と、3タイプの高齢者住宅を訪問しました。元気な高齢者の住宅以外は、それぞれの住宅は特段広いというものではありませんでした。でも、どの部屋も使い込まれたソファー、テーブル、飾り棚などが置かれ、好みの絵や置物そして緑や花々で飾られ、羨ましいくらいにきれいで居心地が良さそうでした。高齢になり様々な事情からそれまでの住処に住み続けることができなくなり移ってきた部屋であるにもかかわらず、いくつになっても、どこに移っても、どんな健康状態になっても自分の住まいを自分の好みで飾りつけ、それまでの生活をきちんと継続させているデンマークの高齢者たちの姿に「自律」ということを強く感じました。そして、家族のためには料理を作るが、自分一人だと手を抜いてしまう。誰か来るときは花など飾るがいつもは散らかり放題。こんな自分の生活を大いに反省させられました。