ニセコ町は羊蹄山の麓にあり人口約4600人の小さな町だが、役場係長だった逢坂誠二氏が94年に町長に就任して以来、「まちづくり町民講座」をはじめ、町長室の開放、分かりやすい言葉で書かれている「もっと知りたいことしの仕事」(予算概要書)の発行など、町民との「情報共有化」の先駆的な取り組みで全国の自治体から注目されている。
そのニセコ町が全国初の「まちづくり基本条例」を策定し、この4月から施行となった。この基本条例は「行政が町民の権利を制限し、義務を課すもの」というこれまでの条例とは逆に、「行政である町に義務を課し、町民の権利を明記した」点が先進的である。
前文には「町民は住むことが誇りに思えるまち」をめざします。まちづくりは、町民一人ひとりが自ら考え、行動することによる自治が基本です」と条例が目指す目標である「住民自治」が明記されている。
14章45条からなる条例の中で私が注目したものとしては、10条(まちづくりに参加する権利)があげられる。1項では、「町民はまちづくりの主体であり、まちづくりに参加する権利を有する。」と書かれているが、一方4項では「参加又は不参加を理由として差別的な扱いを受けない」と述べられており、まちづくり活動への参加は決して強制されるものではなく、侵されることのない権利とされている。ややもすると住民に責務ばかりを押しつけがちな自治体が多い昨今、この4項の持つ意味は大きい。
11条(満20歳未満の町民のまちづくりに参加する権利)は、まちづくりの結果を将来享受するのは現在の子どもであり、大人だけですべての物事を決めて良いのかという疑問から生まれたとのこと。「それぞれの年齢にふさわしいまちづくりに参加する権利を有する」は、94年に日本が批准した「子どもの権利条約」第12条(意見表明権)を理念の基礎としており、自治体として忘れてならない視点ではないか。
「地方分権だから自治基本条例を」ではなく、これまでのまちづくりの様々な取り組みの結果作られた「ニセコ町まちづくり基本条例」を、逢坂町長自ら熱く語っていただいた2時間、とても充実した視察だった。
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